線香花火

　線香花火

　　　　　　木村　永遠

花火を上げる
猛暑の夏よ「さようなら」と
コロナの夏に「負けまい」と
花火を上げる
花火に祈る
戦争の夏は「もう嫌だ」と
恒久平和が「訪れます様に」と
花火に祈る

線香花火を灯す
名もなき人々の命に「お疲れ様」と
御先祖様の魂よ「安らかに」と
線香花火を灯す
線香花火を見ながら祈る
あたりまえの毎日が
「続きます様に」と
自然と笑みがこぼれる毎日が
「訪れます様に」と
線香花火を見ながら祈ります

左手に握った
何本もの線香花火を灯して
全てが消えるまでも

秋になっても冬になっても
心の中の線香花火の記憶が
無くならないならば

いつまでもいつまでもいついつまでも
『日常や平和の大切さ』や
『命の尊さ』などを
線香花火を見詰めながら祈り続けます

（月刊 #MarcoPolo 8月号 掲載詩）

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