詩「リコリス」木村永遠

にぎにぎ

2022年01月03日 08:04

リコリスの真っ赤さは知っている
大切な人を亡くした日を
葬儀に参列できず
現実のじれったさが悲し過ぎた日を

リコリスの真っ赤さは知っている
お墓参りだけは出来た日を
自然と浮かんだ祖父や祖母の柔和な笑顔が
現実のじれったさを和らげた日を

過去はとても優しかったけれど
現実はやはり厳しい
でも植物はやっぱり優しいから
未来はきっと明るいと思う

リコリスの真っ赤さは知っている
どんな時も人々の心が揺るが無かった日を
「駄目だ」とガックリした事があっても
「負けられない」と自分を奮い立たせた日を

厳しい現実は直ぐに無くなり
未来は明るい日はきっと来るはずだと思って
秋の夕暮れに見たリコリスの真っ赤さに
心を重ねていたい
(「リコリス」は「彼岸花」の別名です)

(#大分合同新聞 第37回 #読者文芸コンクール
応募詩)

#リコリス #彼岸花


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