花火
この世に辿り着いた頃に
瞳を開けることが出来なかった
眩しさが
これ以上ない凄まじい光
眩しさにようやく慣れた頃
時めきの向こうに見えた心から
全ては始まった
Aはいつまでも眩しい日々を送り
Bは大人になるに連れて眩しさが
陰りを帯びて
Cは眩しさに慣れると直ぐに
瞳を閉じていたくなった
青年期を過ぎた頃には
あまりにも違い過ぎる人生を
歩んで来た
三人ではあったが
AもBもCも
好きではないかもしれない夜の
陰りの中に佇むことが
心憩う時になっていた
千差万別な花火は
すべて闇に消えて
落ち着く夜を取り戻す
関連記事