2013年11月13日

銀杏の絨毯に包まれて



銀杏の絨毯に包まれたベンチに座って
妻と僕は 詩集「女に」を読んだ後
詩人の谷川俊太郎さんと
絵描きの佐野洋子さんの熟年夫婦の関係
そう 艶かしい愛に口を綻ばせる

妻と出逢った頃も
銀杏の絨毯に包まれたベンチで
コートの襟を立てていた
木枯らしの音が聞こえているはずなのに
桜の花弁の様に
ほんのりピンクの恋人だった

幾年過ぎて今は
銀杏の絨毯に包まれたベンチに座って
時をゆっくり眺めている
「少し寒くなったね。帰ろうか」

枯れ行く冬を待っている
穏やかな眼をした僕らは
やがて 髪が真っ白になって
額に深い皺を刻む

身も心もひとつになって
凍てつく土に帰って行く




  


Posted by にぎにぎ at 21:32Comments(0)こだわり詩2012年4月~