2012年09月08日

「小波」「波」「学校前」(3月11日。原発)

 小波

小波のように、
生きていきたい。

もしも君が小波なら、
ぼくは返すよ。

心も微笑んでいたい。
君の瞳に僕が映る。

「小波」「波」「学校前」(3月11日。原発)


 波

寡黙だった君だったけど
君は堪らなかったんだ
君は堰を切った

君は「海が嫌い」だったけど
君は久しぶりに海の前で佇んだ
「いやおうなしに寄せて来る時だけど
優しい小波がいつも語りかけてくれますように」
君は祈りをつぶやいた

悲しくて苦しくて辛すぎる
ボールペンがぎこちない手紙だったけど
僕が毎朝散歩する海岸に届く前に溶けてしまったけど
僕には文字が見えない手紙だったけど

じっと心を瞑って
君の重たさをいつまでも思いっきり抱きしめている

「小波」「波」「学校前」(3月11日。原発)

3月11日。
君の涙で海が緑色になったから。

だから、

日本のみんなは、一緒だよ。
左から降る雨に濡れないように、
傘の中に入って。


 学校前(祖父と祖母の家)

「学校前に行く」が
母方の祖父と祖母の家に行く合図だった

母は小学校から
ほんの道幅だけ前の家で生まれ育った

佐賀県杵島郡福富村
干潟の出口から始まる川の近く
六角橋を越えた後に浮かび上がる
学校前の家のやさしさ

佐賀県杵島郡福富村
蓮根と蟹漬け(がんつけ)と
すぼたく(藁すぼ)と
しゃっぱ(蝦蛄)が美味しいところ
むつごろうが泥だらけで可愛いところ

佐賀県杵島郡福富村
甘いお米が出来過ぎる位のところ
水を引き過ぎたためか
平坦なところを
真っ直ぐに進んでいるだけなのに
車は微妙に揺れる

学校前の家で祖父は
庭に面した窓から降り注ぐ
淡い日差しを頼りに
ゆっくりと
葉隠の研究(長男の著作)を読んでいた

祖父は
東京物語の笠智秀さんのような雰囲気だった
学校前の家の庭には
医学部の学生だった長男の供養塔があった
手を合わせて黙る祖父と祖母は
原爆投下に責任を感じている様にも思えた

「学校前に行く」が
母方の祖父と祖母の家に行く合図だったはず
学校前の家は
ずいぶん前に取り壊された
供養塔と桜の木だけは残っている

今年の春が来るほんの前に
祖父と祖母の法要が営まれる

「小波」「波」「学校前」(3月11日。原発)


(あした、母方のお墓と父方のお墓をお参りをしに、
 詩の朗読をさせて頂きに、
 佐賀県に行って来ます。
 佐賀にも原発がある。
 僕らは原発がなくても生きていける。)




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