2009年01月17日

あっこ

ボールを追いかけるのは
選手だけでは ないよ
スコアーブックを 付けて
ユニフォームを 洗って
チームを見詰め続けた 君が
十八歳になる ほんのわずか前に
いなくなって しまった

二年生になった 君は
体が そして顔もが 小さくなった
だけど チームを見詰める瞳は 
大丈夫だった時より つぶらだった

君が 十六歳の夏
ボールを追いかける みんなは
甲子園に 行った
君は 病院で みんなの活躍を祈った
みんなも あっこ に 
がんばる ことを 約束した
君は 十七歳の夏
病院での治療を 止めた
思いの丈(命)を
精一杯の声を みんなに響かせよう!
マスクを 外して・・・
だけど チームは負けた
キャプテンは「あっこ に すまない」

二学期 職員室の片隅で大きなマスクで
静かに 本を 読んでいた
あっこ の か細い背中があった
忘れられない(もう帰って来ない) 
日々の感情に左右されて
自分の利益ばかりを追っている 僕らは
あっこ の つぶらな瞳に
いつも 見詰められていたのに
何で 気づかなかったんだろう?
僕らは命の尊さをたまらなく噛み締めて
桜がやっと蕾になった頃 卒業する
  

Posted by にぎにぎ at 20:58Comments(0)