2012年02月08日

卒業

ぼくときみが 出逢ったのは
桜の花弁が を桃色に染める頃だった
ぼくらは 春に生まれたんだ

団扇だけでは たまらない昼下がり
補習を終えたぼくは
美術館下の公園のベンチに座っていた
太陽の眩しさに負けまいと
部活をがんばるきみを
ずっーと待っていた
やっとやって来たきみの
流れる汗で 光っていた

生きづくものが
を赤くポーッとする頃
ぼくは 専門学校に合格した
文化祭のステージの上で
きみは 就職が決まったと
ウインクした

小雨だと思っていたら
雪がを冷たくした昼下がり
下駄箱から黒のローファーを下ろしたら
階段を息を切らせて降りて来たきみの
背の高さを見上げていた

お雛様が 満面の笑みを見せる頃
ぼくらは 卒業する

やがて
ぼくらが 生まれた春がやって来る
今年も 桜の花弁が舞い降りるのだろう
花弁が 地面に絨毯を織り上げた後
ぼくときみの
それぞれの新しい出発(たびだち)は始まる

ぼくらの 行くところは違っていても
ぼくらは 春に生まれたんだ

ぼくときみの 固い固い絆は
桜の花弁に 誓って いるから     


  


Posted by にぎにぎ at 21:36Comments(0)