2012年07月20日

あっこガーデン

17歳のまんまの君は
練習試合も出来ない位狭いグランドの
片隅で

17歳のまんまの君は
野球の練習のお邪魔をしないように
ほんの片隅で

ピンクのチューリップになって

真っ黒に日焼けした野球少年達を
見つめている

「あっこ」
君が亡くなって1年半が過ぎた

病院での癌の治療を止めて帰って来た後
顔一杯のマスクをして
精一杯生きていた
「あっこ」を知っているみんなは

「あっこ」の願いを
いっぱいいっぱい夢がつまっている
でっかいでっかい甲子園に
連れて行こうと誓っている

「あっこ」の書いた
「心」の文字の入った
真っ赤なTシャツを着て

「あっこ」
もうすぐ君が羽ばたいた夏が来ますよ

君の姿を知らない後輩たちは
「あっこガーデン」のチューリップに
水をあげる度に
精一杯生きた「あっこ」と共に
甲子園に行こう と

土埃の舞う小さなグランドで
ぼろぼろになったボールを
追い続けています


  


Posted by にぎにぎ at 21:43Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月14日

 袖ぐち

「金魚すくいがしたいの」
夕焼けに見守られてるお祭りで
あなたのТシャツの袖ぐちを
私 思いっきりひっぱった

「あなたの声がききたいの」
蝉の声が心地よく感じられる夜遅くに
ねむっていたあなたを
私 思いっきり起こしてしまった

いつもあなたのこと 思っていたいから
私 わがままになったのかな

いつまでもあなたとわたし 一緒にいたいから
私 わがままになったんだね

けっしてかっこよくはないけれど
あなたは わたしのこと大切にしてくれるから
わたし あなたとずっといたいの

あなたと海岸で見たね
真っ暗だったけど上がったね
あなたとわたしが包み込まれる位の
花火がいっぱいいっぱい上がったね

あなたと海岸で瞳を見詰めあったね
真っ暗だから灯したね
あなたが描く花火の輪っかの中に
浴衣姿の私がいた

いつもあなたのこと 思っていたいから
私 涙が出たんだね

夏は終わってしまうけど
あなたとわたし いつまでも一緒にいたいから

けっしてかっこよくはないけれど
あなたは わたしのこと大切にしてくれるから
わたし あなたとずっずっと 一緒にいたいの





  


Posted by にぎにぎ at 22:29Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月14日

お祭りの夜

君と出逢ったのもお祭りの夜だった
君と由美ちゃんは色違いの浴衣で
赤い鼻緒の下駄をカランコロン鳴らせてた

君と由美ちゃんは
僕と英ちゃんが金魚掬いをしてるのを
見ていたね
英ちゃんは金魚掬いの名人だけど
隣の僕は金魚に遊ばれていた

英ちゃんの凄さに驚いていた君たちは
僕の下手さに思わず吹き出した
困った顔をした僕に
君は何故か
「ごめんなざい」と声をかけてくれた

今年のお祭りは君と一緒に
下駄をカランコロン鳴らせてる
君と僕は買ったばかりの色違いの浴衣を着て歩いてる

君は綿菓子が大好きで
顔より大きな綿菓子を美味しそうに
頬張っている
相変わらず金魚掬いが下手な僕は
吹き出る汗を拭おうともせずに
何回も金魚に遊ばれている

来年もまた次の年もずっとずっと
優しくて無邪気な君と一緒に歩いていたい
心もとっても不器用な僕は
君に「ありがとう」の言葉も使えないまま
迷子にならない様に
君から繋いでくれた手の温もりに
「好きだよ」の思いを込めている
ずっと続いて欲しい君と二人で歩くお祭りの夜


  


Posted by にぎにぎ at 15:35Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月14日

君との夏

浴衣姿の君と見上げる空には
花火が満開だ
昼間は向日葵の様な君だけど
花火を見詰める君の瞳の中には
ほんの少しだけど寂しさが感じられる


浴衣姿の君と見上げる空には
花火が満開だ
昼間は向日葵の様な君だけど
花火を見詰める君の肩の上には
ほんの少しだけど悲しみが感じられる


今年の夏も君の笑顔に
ひと時の清涼感を感じることが出来た
団扇だけでは足りない
君の寂しさや悲しみを吹き飛ばすためには
団扇だけでは足りない


これからも
僕の飛びっきりの愛情と優しさで
君の向日葵の様な元気な笑顔を
守って行こう
君との夏が
ずっとずっと続きます様に



  


Posted by にぎにぎ at 11:23Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月11日

子どもには真実を教えよう

まちがっていることを
気付かない位、だめになってしまったんだね。

大人になったんだね。
大人になって、まちがっていることでも、
いいかな?って思ってしまったんだね。

駆け引きばかりが上手になってしまったね。

君に僕みたいな世渡り下手が、
言っても、
君は屁とも思わないでしょ。

屁たれな僕だけど、
ひとつだけ
君と約束をしたい。

子どもには、教えないでね。
真実から目を背けることが、
一番の生き方だって。。  


Posted by にぎにぎ at 22:36Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月08日

学校前(祖父と祖母の家)とってもいい詩と励まされた

学校前(祖父と祖母の家)



「学校前に行く」が

母方の祖父と祖母の家に行く合図だった

 

母は

小学校から

ほんの道幅だけ前の家で

生まれ育った

 

佐賀県杵島郡福富村

干潟の出口から始まる川の近く

六角橋を越えた後に浮かび上がる学校前の家のやさしさ

 

佐賀県杵島郡福富村

蓮根と蟹漬け(がんつけ)とスボタク(藁すぼ)と

しゃっぱ(蝦蛄)が美味しいところ

 

むつごろうが泥だらけで可愛いところ

 

佐賀県杵島郡福富村

甘いお米が出来過ぎる位のところ

水を引き過ぎたためか

平坦なところを

真っ直ぐに進んでいるだけなのに

車は微妙に揺れる

 

佐賀県杵島郡福富村

餅すすりが有名なところ

学校前の家と同じ村で生まれ育った父は

つき立ての餅の端っこに醤油だけをつけて

一気にすすって

あっという間に飲み込んだ

 

学校前の家で

祖父は

庭に面した窓から降り注ぐ淡い日差しを頼りに

ゆっくりと葉隠の研究(長男の著作)を読んでいた

祖父と入ったお風呂

幼稚な感情が温かく包まれた

  


Posted by にぎにぎ at 22:54Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月08日

天の川

泳ぐ泳いでた
ふたりのこころも揺らいでた
暑い熱いもえてた二人
しっとりとしてた人ごみでの二人
弾く弾く返って来た返ってくる
宵宵酔い酔いヨーヨー

赤い赤い掬う救う
丸くて白い中で弾ける金魚
やぶれる前に
赤い赤い掬う救う
きんぎょ

七夕なの
織姫なの
彦星なの
天の川は穏やかなの
天の川は
どれくらい広いのだろう
彦星ではないのに・・・

泳ぐ泳いでた
ふたりのこころも揺らいでた
暑い熱いもえてた二人
しっとりとしてた人ごみでの二人
弾く弾く返って来た返ってくる
宵宵酔い酔いヨーヨー

ほとばしるほとばしる募る募る
か細くて白い炎に蘇るあのとき
打ち上げる前に
金色や紫の華が燃える
花火

ずっと一緒に二人天の川


  


Posted by にぎにぎ at 21:37Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月06日

君は 風といっしょになる

だれでも 悩むよ
だれでも 迷うよ
だれでも 苦しむはず

でもね でもね 
だれでも 答えを持っているよ
だれでも 答えを捜せるはす
だれでも 君の中に答えを持っている

だから 君は笑って
だから 君は歌って
だから 君は弾(はず)むんだよ

いつも いつも

僕は 君を守っていて いいかい

ずっと ずっと

君を 見つめていて いいかい

君は 羽ばたいて
君は 羽ばたくよ

風に 乗って
 
君は 風といっしょだよ

こころのままに
あるがままに
生きていってほしいんだ




(ミニフォトポエム集「君は 風といしょになる」から)  


Posted by にぎにぎ at 23:01Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月06日

夏に羽ばたくために

夏の陽射しは
僕にとっては とてつもないキラメキ
外に出るのを 頑なにためらう

向日葵の笑顔は
僕にとっては 嫌味な明るさ
鮮やかな黄色に 頭がくらくらする

でもこのまんま では だめ
立ち止まったままの僕は 若過ぎる

さようなら 桃色の季節
さようなら 緑の風
さようなら 降りしきる透明な雨

さようなら 君  さようなら

今日は早起きして
やどかりもまだ眠る
夜明け前の海に行こう

陽射しが降り注ぐ前にね

君の笑顔を ひおうぎ貝に写して
桃色の貝を
遠くへ 遠くへ 飛ばすんだ

君との季節を置き去りにして
僕が生まれた夏に
羽ばたくために   


Posted by にぎにぎ at 22:54Comments(0)詩2012年4月~

2012年07月06日

スクランブル交差点(夏の日差し)

ちっぽけと思いたかったけど
とてつもない思いを抱えていた君が
スクランブル交差点の斜め向こうから
前の人と横の人の間を縫って

走って来る

髪をそよ風の爽やかさにした君が
デパートのすぐ前の横断歩道から

人々が いろいろな思いを寄せている間から

僕に向かって
まっしぐらに飛び込んで来る

ちっちゃくて か細過ぎる姿を
思い出せない位
満面の笑顔が心地よい

君は 
悲しみや寂しさという名の感情さえも
ほとばしる汗 さえも
微笑みに かえて
僕の胸の中に 飛び込んで来る

好きだよ

僕も君も 人目など知らない

しかめっ面だった僕の
細い首に飛びついた君を

好きだよ の 思いを込めて
しっかりと 抱き締めている  


Posted by にぎにぎ at 22:49Comments(0)詩2012年4月~